2001年の9月11日は個人的にも衝撃的な1日だった。いつもの朝のように
シャワーを浴びてから授業が始まるまではNEWSの時間という個人的な日課である、
インターネットでNEWSを見ようと思ったけど、なかなか繋がらない。最初はPCの調
子が悪いだけだと思ったけど、NEWS関連だけが全くアクセス出来ないという奇妙な
状態だった。当時住んでいたアパートにはTVがなく、しかたがなくサッカーサイト
で時間を潰そうと思ったら何かおかしいと気づく。普段ならサッカーネタで会話が
弾んでるとこで、「アメリカ」や「テロ」とサッカーサイトでは聞こえない言葉が
連呼される異変に「何があったの?」と聞いたらWTCが攻撃にあったという始末。正
直、???という感情である。個人的に民族紛争とテロ組織に関してはマニアと言
われるような人間なだけにゾクゾクしたいたのは事実である。それはまだ画像を見
ていなかったからであろ。あまりに騒いでいるので、想像以上に何か起きてるの
か?と思い、隣に住んでる御婆さんのとこにTVを見せてと頼むと、いつも陽気な御
婆さんが全く暗い。TVを見たらそれもうなずける。確かCNNだったと思うが、現場の
人が逃げる姿や飛行機がWTCに突っ込む映像を何度も見ていくうちに苦い味がしてき
た。あれほど衝撃的だったのは湾岸戦争以来である。湾岸戦争のとき丁度11歳だっ
たが、ある意味衝撃的だった。何が起きてるのか分からないけど、真っ黒な空に緑
色の光線が衝突したり破裂したりする映像や、軍事行動の映像などが写されていた
あの時のように、衝撃的だった。何も分からない年だったが衝撃的だった。
その日の晩に、メディアの情報も完全に対応出来るようになったおかげで、情
報収拾には事欠かなかった。ただ、漠然としていた。個人的には、反アメリカ系の
アラブ組織だろうという事だけは分かっていたし、アメリカの外交政略が91年革
命(ソビエト崩壊、ドイツ統一、東ヨーロッパの民主化の波、ユーゴスラヴィア内
での紛争激化などが91年を境に起きたことを意味する革命)以降からのアメリカ至
上主義によるアラブ諸国内の不満分子のアメリカに対する衝突だろうと思い、ただ
明日の授業で発言するのみだと思いその日はギリギリまで情報収拾をしてから寝
た。次の日は丁度、比較政治の授業があり、教授自身が外交戦略と91年以降の変化
を中心にやっている分、面白い議論になると思っていた。実際は想像を超える違い
が見えた。まず、生徒全員がこれに対する報復行為は当然のものとして考えてお
り、犯人である可能性の高いアラブ諸国に対しては確実に息の根を止めても止む得
ないと主張し、「何故これが起きたのか?」や「なぜアメリカが狙われるのか?」
という理由は関係無く、ただ報復するのみと言う考えを中心に過激に皆発言してい
た。これは異常心理に近いものがある。実際、メディアも右的な発言を賛美するか
のような報道をしており、誰もがそれに影響を受けるのは当然である。しかし、あ
そこまで行くのはある意味恐怖を感じる。人間追い込まれればなんでもすると言う
がそれを目にした感じであった。教授も含め誰もアメリカの非を無視して、ただテ
ロ1つだけを見て発言している。かなり狭い視野である。俺が「アメリカが攻撃さ
れたのが・・・・であるから、アメリカの外交戦略にも非がある。」と素直に発言
したら最後、全ての生徒が敵対意識を持っていた。その中の一番中の良かった友達
でさえ冷たい目をしていた。アメリカの民主主義の原理である、「発言の自由」と
「民族や皮膚の差別撤廃」という根本が、あの当時はなかった。そのあとの授業の
スピーチのクラスの友達がイスラム系が多かったということもあり、授業はその話
題で終始事欠かなかった。その中で、パキスタンから来た友達は「家にビール瓶を
投げ込まれた。」とか「電話が止むことのない一日だった。」というように、イス
ラム系の人には辛い時期だったと思われる。なにも彼らがやったわれではないの
に、ただ宗教が一緒と言う理由だけで攻撃されるというかなり切ない時期が当分は
あった。当時のNY市長のジュリアーニは「私は誰よりもテロが憎い。犯人も憎い。
でも、イスラムの人間を憎いとは思ったことがない。イスラム系の移民を否定する
ことはアメリカの原理を否定することにある。アメリカが素晴らしいのは多くの民
族の融合だと言うことを認識して欲しい。」という言葉に代表されるような、素晴
らしいアメリカ民主原理に基づいた意見が最近は聞けるとしても、あの当時ジュリ
アーニぐらいからしか聞こえなく、誰も耳を傾けず、ただ「イスラム教徒が憎
い。」「アラブ人はテロリストの仲間だ。」という言葉を平気で言えた時期ほど、
アメリカを嫌いになったことはない。個人的にアメリカを日本同様に愛している
が、あの当時は理解できないアメリカ人が多く、それ故にアメリカを憎く感じたこ
ともあった。その後、誰もが知っている通り、アメリカは90%を超える同意の元
に、アフガニスタンに対する「世界の平和と正義」という言葉で立場を正当化して
攻撃をはじめ、今はそれを超越した行動としてイラクに対しての攻撃を考えている
始末である。アフガニスタン攻撃で何が起きただろう。当然、タリバン政権を覆し
民主化をアフガニスタンに入れる事が出来たという所は正当に評価できることかも
しれない。ただ、アメリカの目的は何?という疑惑は尽きない。当初の第一目的で
ある、テロ首謀者であると言われたビン・ラディンを中心にトップクラスの人間を
一人も捕まえることなく攻撃が終了したという、湾岸戦争におけるフセインをイラ
ク政権から追い出すと豪語して始めた戦争をバクダット攻撃直前で止めるという意
味不明な状況と類似している。結局、何をしたいのかが見えてこない。アメリカの
茶番に付き合わされているとしか思えない。日本のメディアはアメリカからの情報
を最重要においているために時にはアメリカの思いのままの情報が日本には蔓延す
る。正直な話、テロを境に今は正常に戻りつつあるが、どれもアメリカの戦争に対
しては前向きな行動をしている分、それに関して不利な情報は全く流れない。例え
ば、「テロを未然に知っていたのにも関わらず、何も行動しなかったことを認め
た」という情報がアメリカのメディアでは一度も流れなかった。また、「ブッシュ
家とイラクが強い関係が以前はあり、湾岸戦争自体もブッシュ家を中心とした軍事
産業トップが利権のために行い、フセインも自己利益のためにその茶番につきあっ
た」という情報もアメリカのメディアでは一度も流れなかった。はっきり言って、
最近のアメリカの情報に関してはアメリカのメディアよりはドイツとフランスを中
心としたメディアと一部のアメリカ在住のフリーのジャーナリストのほうが明確に
情報を流していると思える。正直な話、アメリカが嫌っている共産主義国家のメデ
ィアと国家の関係に類似して止まない。結局、今のアメリカ外交戦略を見る限り、
アメリカが汚い汚職刑事と変わらない。「利権のためにどんな人間だろうと手を組
み利益を十分に得たら、警察という力でねじ伏せ思いのままに動かし全て自分の手
中にあり、正義と言う言葉で市民からは賛同を受けながら、内面には悪魔が住みつ
いている」としか見えない。
1年を迎えて、アメリカ各地で色々な式典が行われ、多くの人が涙を流した。
それと同時に、この1年間で多くのイスラム教徒は辛い思いもしたのも事実であろ
う。ただ、宗教の違いだけでここまで苦しめたのもアメリカである。犠牲者と被害
者と被疑者が同じ人間に見えてくるのは俺だけだろうか?テロが憎い、アメリカの
行動も憎い。これから、アメリカはイラクに対して攻撃を12月終わりから1月始
めにするだろうが、その時何が起きるだろうか?また、多くのアメリカ人が苦しみ
多くのイスラム教徒が苦しむだろう。国家の目的の為なら、人の命は安いのか?と
最近は考えてしまう。国と言うものは全ての市民のために運営されるものであろう
が、今のアメリカの共和党政権にはそれを感じることが出来ない。この1年間を通
して何も変わらずにいる人間が大半らしい。最近の世論調査でもイラク攻撃止む無
しというのに70%近い投票があり、イスラム教徒に対して何らかのネガティヴな
イメージを持つと言う質問に対しては、かんり減少したが30%を超える人間が強
い嫌悪感をイスラム教徒に持っているらしい。あとどれだけ自己的に満足すればア
メリカはエクスタシーを感じることが出来るのか?と最近はつくづく思う。アメリ
カの個人的な満足度が国連を中心とした世界の基準なら、今の世界のシステムの基
準が狂っているのか、アメリカが強引にその基準を動かしているのだろう。
http://members.aol.com/Sampdoria14/個人的に政治関係のジャーナル書いてるので良かったら覗きにきてください
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