ワールドカップ特別企画第一弾!
4年に一度のワールドカップ。サッカーサイトであるEalry☆Crossでも何かできる
事はないかと模索していた所、1ユーザーの方から、とある申し出がありました。
生でワールドカップに触れたフットボールバカの心の軌跡を書かせて欲しいと。
ここでは彼とワールドカップのヒストリーを描いてもらう事にします。彼にとって
この一ヶ月は狂気の一ヶ月となるのか、それとも至福の一ヶ月となるのか。ぜひご
期待ください。感想・ご意見は⇒(ID:020464 Y.Yanagi)

※等スレッドは一般のユーザーの方は書き込み禁止でよろしくお願いします。 (設立者: シニョーリの左足
題名
内容

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[00020] もやもや(1) 投稿者:Y.Yanagi 2002/07/06 03:39
2002年6月21日 ドイツVSアメリカ ウルサン文殊サッカー競技場

 高速バスターミナル近くにあるデパートの屋上の大きい観覧車がこの街を物語っ
ている。あの大きな観覧車を思い出している今ならあれに乗ってもよかったなぁと
さえ感じる。きっとあの観覧車に乗ればウルサンの町を一望することができただろ
う。

 聞いた話によるとウルサンは韓国を代表する工業新興都市らしい。そのせいなの
か街がとても新しい活力に溢れているような感じがした。あの猥雑でどこか古錆び
ているソウルと比べると新しく綺麗な街だった。だけどサッカーがなかったらきっ
と来る事は無いだろうなぁ。綺麗だけど面白みは無い街。そんな印象。

 ウルサンに着いたのは丁度日本のエコパスタジアムでイングランドVSブラジル
戦が始まる直前だったので、巨大モニターがある韓定食(沢山小皿が出てくる韓国
料理、ハンジョンシク)のお店でここでも美味いメシを食べながらテレビ観戦。ル
シオのこのままブラジル帰ったら殺されるプレー後のオーウェンのあざ笑いシュー
トでビールをゴクゴク。ちょっと飲みすぎたせいかトイレが近く前半終了間際のホ
ナウジーニョの素晴らしい個人技からヒバウドォォォォォなゴールは丁度トイレに
入っていて見れず。(韓国のテレビの実況の発音は基本的に現地読みで、ロナウド
をホナウドってちゃんと言う。ただ選手名画像表記がハングルなのにはちょっとゲ
ンナリ)ホナウジーニョの小賢しいFKと不可解な退場劇。ベッカムはどこにいる
のかわからないまま試合終了。シーマンが泣いている。まぁ泣くよな。誰よりも悲
しんでいるだろうなシーマン。誰よりも一番喜んでるのはルシオだよきっと。

 日本会場の試合が終われば、待ってましたとばかりに韓国会場の試合が始まる。
そそくさと店を後にして、ウルサン文殊サッカー競技場へシャトルバスで向かう。
こっちのシャトルバスはさいたまスタジアムとは違ってチケットを持っていなくて
も乗車できるんだなぁ。そうそう大事なことを言い忘れていた。僕は試合のチケッ
トをまだこの時点では持っていなかった。持っていなかったら?勿論韓国でも現地
購入だよ。<続く>

[00018] Korea Make History,Japan Is History 投稿者:Y.Yanagi 2002/07/03 01:57
2002年6月20日 試合無し

 題名にあるのは韓国のコンビニで買った英字新聞の記事の見出し。韓国と日本の
明暗の差を短文で秀逸に表していていると思った。あの雨中のトルコ戦を思い出し
てまた凹む。(ちなみに僕が韓国で心から凹んだのはこの新聞の記事を読んだ時だ
け)

 ソウルに着いた翌日の朝の事。テレビのニュースは電波ジャックでもされたかの
ようにワールドカップのニュースしか伝えない。放送時間60分の50分はワール
ドカップ関連のニュース。もちろんそのほとんどが韓国代表のニュース。イタリア
戦Vゴールのアン・ジョンファンのヘディングは何回見たことだろう。韓国サポータ
ーの応援コールはスタジアムにも行っていないのにほとんど覚えてしまった。

 韓国は僕をとても優しく迎えてくれたと思う。この日ブルーの日本代表のユニフ
ォームを着て、ソウルの町を歩き回りながら切に思っていた。異国の地で時折すれ
違う人から起こる"ニッポン!"コールや"ウルトラニッポン!"コール。嬉しかった
のは言うまでも無い。けれども彼等には余裕があるのかな?って邪推してみたりも
する。も気温は30度近くあるらしくとても暑い。人々の熱気もまだまだ熱い。そ
んなソウルの午後をぶらりと過ごす。

 夜になっても昼間の暑さがまだ残っている。それにしても韓国の焼肉は日本人の
口に合わなくて不味いって言ったのは誰だ?安くてとても美味しい焼肉を食す。口
に大量のビールが言うまでも無く進む、ちょっとほろ酔い気分になりながら店を後
にする。相変わらず青いユニフォームを着てた僕は、酔っ払いの韓国人のサラリー
マンからまた"ウルトラニッポン"コール。彼らは酔っ払っているので、きっと普段
は言えない事も言えるのだろう。日本でも有名になった"オーピルスン(必勝の意
味)コリアー♪"の節で、"オーF○ck'n USA−♪"と替え歌まで披露してくれ
た。

 ワールドカップの香りは間違いなくソウルに存在した。この一日を過ごして僕は
感じた。そして僕はこの雰囲気を楽しんだ。ホスト国であるにも関わらず、ビジタ
ー国の一員として。なんて贅沢なんだろう。

 宿に帰ってテレビのスイッチをとりあえず入れる。真っ先に目に飛び込んでくる
のはアン・ジョンファンのヘッド。またやってるのかよと思ってさすがに笑った。

 明日は一路ウルサンへ!ちょっとワクワクしてきた。

[00015] ロッカールームにて 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/19 02:54
2002年6月19日 試合無し

 今日僕は韓国へ旅立ちます。色々な思いを秘めながら、隣の国のスタジアムへ。
僕はノートパソコンを持ってませんので韓国からちゃんと更新できるかどうかわか
りませんが、できる限りの努力はしてみるつもりです。ご期待ください!

[00014] やっとハーフタイム 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/19 02:50
2002年6月18日 日本VSトルコ  宮城スタジアム
           韓国VSイタリア テジョンワールドカップスタジアム

 今日まで19日間連続で毎日日本と韓国のどこかしらでワールドカップの試合を
やっていた。その19日目最後の日に、二つの開催国が明暗を分ける試合をすると
は何たる皮肉だろう。

 -残念だと思えないことが残念だった-これは先ほどテレビで、あるコラムニスト
の方が今日の日本戦に対して言っていた言葉。正にその通りで煮え切らない試合だ
った。まぁ選手起用がアレだとか、あのミスがとか、あのヘボクロスはとか、なん
だあの電柱はとかまぁ言い出したらキリがないので割愛。いろんな理由で負けたん
だよ。

 そして何より悔しいのは韓国の勝ち。イタリアが負けたなんてどうでもいい。韓
国が勝った事が悔しい。ワールドカップ出場も彼等が先、ワールドカップ初得点
も、ワールドカップ初勝ち点も、ワールドカップ初勝利も、そしてワールドカップ
ベスト成績も・・・悔しい。

 韓国のスタジアムがまた悔しいんだけどいいんだよ。サッカー専用スタジアム
で、観客席は真っ赤で、これが気持ち悪いぐらい怖いんだ。今日の宮城はピッチは
遠いし、レインコートは着てるし、すべての必死さが画面からは伝わらなかった。

 僕は日本代表に何を求めていたんだろう?華麗なプレー?貪欲なゴール?それと
も単なる勝利?

 僕はきっと『誇り』を彼等に求めていたのだと思う。試合が終わった瞬間にあの
緑のオッサンのようにマフラーを掲げ、気落ちした代表のイレブンを鼓舞でような
『誇り』を共有できるようなチームへ。ってこれは無いもの強請りなのかもしれな
い。

 僕らはまず変わらなければいけないだろう。代表を甘やかしてばかりではいけな
い。時には厳しく、時には叱咤激励し、そして最後には共に喜ぶ。僕らの代表にな
れるようにこれから始まる4年間を過ごしていこう。

・・・そんなことを思った負けた日の夜。

[00013] アイルランド讃美 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/18 13:33
2002年6月16日 スペインVSアイルランド スウォンワールドカップスタ
ジアム

 試合内容について多くを語る必要は無いだろう。スペインがモリエンテスのゴー
ルで一点先制した時も必ず追いつくと確信していた。それはイアン・ハートがPKを
外した時も。ロビー・キーンの飛び出しが尽くカシージャスに止められた時も。

 そして後半の最後の最後に与えられたPK。蹴るのはロビー・キーン。これが決ま
る。そして国際映像で映る泣きじゃくるオッサン。 

 30分の延長の後今大会初のPK戦へ。5人目までもつれ込むも最後はメンディ
エタがきっちり決めてスペインの勝ち。勿論アイルランドの負け。

 これがアイルランドだ。見てくれアイルランドを。そう言わんばかりにさっきの
PKで泣いていた親父はマフラーを掲げる。そして-You'll Never Walk Alone-を
歌う。

 僕が今後の人生でアイルランド人に出くわすような事があったら、僕は誇らしげ
に言ってやるつもりだ。-あなた達は日本に素晴らしい置き土産を残していったよ-
と。

[00012] 空騒ぎ 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/18 12:19
2002年6月14日 日本VSチュニジア 長居スタジアム

 ワールドカップが始まって初めて家で試合を観戦する。僕は日本がトーナメント
に進出したら泣いてしまうかもしれないと思って家で一人で観ることにした。大の
男が人前で泣くなんて恥ずかしくて見せられない。

 けれども実際は泣くことも無く、それ程気持ちの昂揚も無い。セカンドラウンド
進出決定と言われてもあぁ決まったんだなぁくらい。森島のゴールよりも中田のゴ
ールよりも印象に残っているのは前半最後の戸田のプレー。あのPK確実のプレー
の後でチュニジアの選手に逆ギレできる君は凄いよ。

 その後用事があって渋谷へ。ブルーを着込んで喜んでいる人を大勢見かける。ロ
シア戦の時はあのブルーがまぶしくて羨ましくも見えたのだけれども、今日は無理
やり喜んでいるような人が多く見えて逆にゲンナリする。日本は勝ったよ。トーナ
メント進出だよ。でも本当に君達は心から喜んでいるのかい?ただそれに便乗して
騒ぎたいだけなのだけではないのかい?日本は勝ったはずのに無性に虚しい気持ち
になった。

 日本代表は別次元の世界へ足を踏み込む。僕はちょっと躊躇。この空騒ぎについ
て行けない気がする。近くて遠いあのブルー。こんな不安な気持ちでトルコ戦へ挑
む。

[00011] The crisis of Asia (2) 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/18 11:34
 前半ロビー・キーンがあっという間に決めてアイルランド先制。その後はけだる
いサッカー。既に敗退の決まっていて緊張感の無いサウジアラビアの気だるいペー
スにアイルランドも寄り添って前半はそのまま終了。アジアの意地なんか微塵も感
じられないサウジもサウジだが、それに付き合うアイルランドもアイルランドだ。

 後半に入ってまるで緑の観客に急かせられたかのようにアイルランドが追加点。
まったくアイルランドは頑固なサッカーだ。どんな相手でも彼らのスタイルは変わ
らないし、どうやら変えようとする気も無いらしい。強国だろうが弱国だろうがや
ることは変わらない。そして緑のオッサン達も変わらない。

 3点目はデアイエの信じられないようなパンチングで、そのままゴールイン。さ
すがに周りのアイルランド人もそのヘボプレーに苦笑している。アジア枠はこれで
確実に減るだろうなぁ。そう痛感されるような1点だった。
 
 緑の彼らは日本にサヨナラを告げて韓国へ旅立つ事が試合終了のホイッスルによ
って決まった。-決勝で再びこの地で会おう-と最も開催国の人間らしい言葉をかけ
てスタジアムを後にする。

 彼等に会えてよかったと心から思う。あの電車、あのスタジアム、あの衝撃。オ
ッサン達は妖精のように僕を魅了して、そして日本を魅了していったのではないだ
ろうか?このまま彼等が韓国の人たちも惑わしていくとしたら、それこそアジアの
危機だと思った。度々言うがオッサンに惚れるなんて本当にどうかしている。

[00010] The crisis of Asia (1) 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/16 09:17
2002年 6月11日 サウジアラビアVSアイルランド 横浜国際総合競技場

 僕は恋をしてしまったのだろうか?なぜか横浜に来てしまった。緑のオッサンに
惚れるなんて僕は相当狂っているけども、それだけの魅力があると自信を持って言
える。

 いつものようにチケット入手作業。バイロムのクソッタレなんかに振り回されな
くてもチケットは手に入るんだよ。本当にワールドカップの試合を見たいのなら、
現地にとりあえず行ってみるといい。もしチケットは手に入らなかったとしても、
きっと他の何かを感じることができると思う。それがワールドカップの楽しみでも
ある。

 サウジアラビアにも興味はあった。日本がアジアで散々苦しめられた相手だ。こ
の前のアジアカップ決勝でも日本代表は苦しめられた。アジアで言えば韓国に次ぐ
好敵手。そんなサウジアラビアを見てみようと思っていた。既にグループリーグ敗
退は決まっているが、アジアの意地を見せてくれるだろうと期待していた。少なく
とも試合前は。<続く>

[00009] 祭りのあと 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/14 16:46
 日本の勝利を告げる終了のホイッスルが鳴ると同時に僕を含めた日本人の歓喜の
声が真っ先に飛び込んでくる。ロシア人は落胆の表情を浮かべながら、すごすごと
引き揚げていく。日本ワールドカップ初勝利に乾杯する。

 店を一歩出るともうそこはお祭り騒ぎ。ベルギー戦の時も凄かったけど、それ以
上だ。バカ騒ぎしている人が歩道だけでなく車道にまで人が溢れている。見知らぬ
人とハイタッチして、見知らぬ人とニッポンコールをする。外国でよく見るような
車から箱乗りしてい人や、車やバイクのクラクションを手拍子の様に鳴らしている
人もいて、これはこれでなんか素晴らしいなぁと思ったり。

 結局僕もその騒ぎに便乗して帰りは終電近く。六本木駅近くで配っていた号外を
手にして地下鉄のホームへ駆け込む。ホームでは騒いでいる日本人もまだいたけ
ど、勤勉でシャイな日本人は電車の中まで騒ぐ人はいないようだ。どっかの国の人
とは違って。

 家に帰ってベットの上で号外をまた読んで、スカパーのトーク番組に出演してい
た原博実さんの嬉しそうな姿を見てまたグッときたりして僕はすっかり夢見心地。
それはロシア戦が始まってからずっとだったのか、ベルギー戦が始まってからだっ
たのか、それともワールドカップが始まって以来ずっとなのかもしれない。なんて
少し酔ってる。

[00008] And drinking 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/13 02:40
2002年 6月9日 日本VSロシア 横浜国際総合競技場

 当然の如く日本戦のチケットは手に入らないので気が滅入る。戦う前からこんな
気持ちで家で引きこもっていたら、余計ダメ人間になりそうな気がするので酒でも
飲みながら見ることにした。向かう先はまたしても六本木。ワールドカップが始ま
ってから我が家のスカパーは全く機能していない。僕はワールドカップをいつもど
こかで見ているのだけれども。

 ベルギー戦の時に立ち寄ったアイリッシュパブが非常に気に入ったので、今日も
ここで観戦しようと思う。僕が好きなギネスビール(アイルランド生まれの黒ビー
ル。クリーミーで苦い)を飲んでいるとまぁ例の如く緑のオッサン2人組が絡んで
くる。ドイツ戦の話をして盛り上がって、日本戦が始まるまでの時間を費やす。コ
スタリカが同点ゴールを決めた頃このオッサン達は帰ってった。日本が勝つように
祈ってるよと言葉を残して。

 なぜか店にはロシア人が今日は多くて、気分は小異国どころか小アウェー。日本
コールで煽ると、数倍のルゥーシアコールで帰ってくる。頑張ってくれ日本。喧し
いコイツ等を黙らせてやってくれ。

 稲本の得点の瞬間は忘れられないだろうなきっと。忘れないのは稲本のシュート
だけでなくて、周りがお葬式のような悲しみにくれているなかで僕と数少ない日本
人が、歓喜の声をあげている光景。楢崎がベスチャストニフにで抜かれてサイドネ
ットに突き刺さったのを見て入ったと勘違いして浮かれているロシア人の姿もきっ
と忘れないだろうな。あの入ってないとわかった時の天から地に叩きつけられたよ
うな表情といったら!(僕は楢崎が抜かれた瞬間に頭を抱えたけど、シュートがす
ぐにサイドネットだと気がついて必死に手を振って入ってないとロシア人にアピー
ルした) <続く>

[00007] You'll Never Walk Alone 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/11 00:51
スタジアムの周りもアイルランド人だらけ。ドイツ人はごく僅かでどういったこ
とかクロアチア人やエクアドル人やスウェーデン人と思われる人達がいる。そして
至る所のスタジアムでも何故か見かけるメキシコ人はやっぱりいた。緑のおっさん
達はスタジアム前の広場で彼等の命の源であるビールを片手にアイルランド!の大
合唱。こないだのパブのようにすっかりここは日本ではないようだ。はっきり言っ
て異常です。異常なんですこの雰囲気は。

 もう恒例作業となったプラカードを掲げる。んで思ったよりも簡単に目標のチケ
ットを入手。もう手慣れたもんで席まで選んでしまう余裕があり、気に入らない席
はスルーしてたぐらい。席はちょっと奮発してカテゴリー1。もちろん席はアイル
ランド寄り。僕もビール片手にスタジアムへ。

 20:30開始という事もあり、まだまだ試合開始まで余裕がある。近くのアイ
ルランド人とちょっと談笑。
-今日はアイルランドとドイツどっちが勝つと思うか?もちろんアイルランドだよ
な。知ってるか?ポルトガルがUSAに負けているらしいぞ。3点も入れられて!-
思ってもいないところからUSA対ポルトガルの情報が聞けてビックリした。やは
り欧州予選リーグで同じ予選リーグだったので気になるらしい。そう言えば同じリ
ーグにはオランダもいたんだよなぁ。僕が-I miss Roy Keane.(ロ
イ・キーンがいなくて寂しいよ)-ってまぁ別れ挨拶に言うと。-アイツはいなくて
当然さ-と言われる。ロイ・キーンはアイルランドの英雄だと思ってたんだけど、意
外とそうでもないらしい。

 ドイツとアイルランドの一番の違いが出たのは国家斉唱のときであると僕は思
う。決してドイツが悪いわけではない。彼等は普通に歌っていたし権威も感じる。
アイルランドが違ったのだ。選手全員がわざわざ振り返ってバックスタンド側のゴ
ール裏方面を向き、ベンチにいるスタッフと控えメンバー全員が肩を組みながら国
歌を歌う。素晴らしいシーンだ。アイルランドは観客だけでなく、代表メンバーも
素晴らしい。

 試合はドイツがクローゼのヘッドで先制して、アイルランドが一点を追いかける
という展開になる。アイルランドのサッカーは一辺倒なサッカーでとてもわかりや
すい。FWに当てて落としてその落としたボールに別のFWが走りこむという。ド
イツも守備が堅くて、やっとDF陣を切り裂いたとしても、GKカーンがいる。カ
ーンっていうのは素晴らしいGKなのは間違いないんだけど、いかにも敵キャラっ
ぽい顔つき。この大ボスを倒さない限りアイルランドに光は戻らない。

 後半アイルランドがドイツを攻略し始める。ダフが挑み、ロビーキーンが挑むが
どうしてもこのボスがどうしても倒せない。カーンはやっぱ凄いよ。ついにロスタ
イム。今日は鹿島に着ただけでも大満足だ。けど帰りの電車のアイルランド人が可
哀相で心配だなぁとか思っていたロスタイムの最後の最後。ロングボールを競り合
いで落とす。後ろをロビー・キーンが走りこんでいる。右足を振りぬく。カーンに
当たる。入った。信じられない。その刹那、僕は声にもならないような雄叫びをあ
げ、とりあえず周りのアイルランド人とシェイクハンドを。チーム同様に死にかけ
ていた応援の声も盛り返し、そのままタイムアップ。このチームは10人でオランダ
を破り、そしてプレーオフであのイランの恐ろしいスタジアムに乗り込み退けたチ
ームなんだと改めて思う。

 ドイツは死んだようにうなだれている。その一方アイルランドは精一杯の喜びを
表して-You'll Never Walk Alone-を歌う。僕も一緒に歌う。

Walk on, walk on, with hope in your heart,
歩いていこう、歩いていこう 希望を胸に抱きながら
And you'll never walk alone.
そう、君はひとりで歩いているんじゃない
You'll never walk alone.
ひとりで歩いているんじゃない

 
 帰りの電車もこのままアイルランドのヤツらは五月蝿いんだろうなぁとか思って
たけど意外と静かで、みんなグッタリしている。そりゃあ疲れるよなぁあんな試合
を見せられたのだから。僕も疲れた。東京までまだ2時間もあるちょっと眠ろう。

[00006] Come On You Boys In Green 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/08 02:29
2002年6月5日ドイツVSアイルランド 県立カシマサッカースタジアム

 鹿島神宮行きの臨時列車の中は緑のアイルランド人で満杯だった。電車の中は飲
むわ、歌うわの大宴会モード。ちなみにそのほとんどがオッサン。このオッサンパ
ワーはもの凄いものがある。歌を歌い始めるように若い者を煽るのはオッサン。や
たらと喋りかけてくるのがオッサン。何より一番はしゃいでるのがオッサン。途中
の駅に着く度に-Come On You Boys In Green-の大合唱は続く。プラットホ
ームにいる"普通の"日本人が呆気に取られるのは仕方の無い事だろう。

 車中のたまたま近くにアイルランド正GKシェイ・ギブンの親父さんがいた。こ
の親父さんがまたいい人でやたらと飴をくれた。まるで息子を応援しろよと言わん
ばかりに。元々アイルランドを見に行こうと思ったけど、これで心から応援せざる
を得なくなった。一緒に名曲-You'll Never Walk Alone-を歌う。

 鹿島神宮駅へ着く。やはり東京と比べると少し肌寒いような感じがする。思えば
遠くへ来たもんだ。相変わらずチケットを持ってない僕はシャトルバスに乗らずに
歩いてスタジアムまで。チケットを得るより先に、スタジアムの周りの雰囲気を楽
しみたかったから。<続く>

[00005] ニッポン!!ニッポン!! 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/07 04:11
2002年6月4日(火)日本VSベルギー 埼玉スタジアム2002

 今日も一昨日と同様に足は埼玉へ。だけど早々と引き揚げ。吹っ掛けの値段が1
0万。これじゃあ交渉しても良くて5〜6万だろう。そして何より早くさいたまか
ら逃れたくなったのは、プラカードを持っている僕の目の前をチケットを持ってい
る幸せな人たちが、申し訳なさそうに過ぎ去っていく事。それがとても悔しかっ
た。

 新宿をぶらついた後で、またこれも一昨日と同じく六本木へ。ぶらぶらしすぎて
たせいだろうかもうキックオフ直前。やっぱしこれも一昨日と同じくと言いたいと
ころだけれども、お店は既に満席で入場拒否。さすがに日本代表戦だ。仕方が無い
ので近くの入ったことも無いパブへ。その中はアイルランド人ばっかだったけれど
も、まだ店のスペースには余裕がある。日本の中の異国で日本戦を。これもまた不
思議な光景。

 結果は引き分け。念願の勝ち点1をゲット。・・・と思いたいけれどもやっぱ悔
しい。日本のゴールは泥くさいゴールと美しいゴール。そして幻のゴール。やっぱ
悔しい。審判クソッタレ。

 試合が終わったと同時に店にはQueenの名曲-We are the champions-が流れる。
アイルランドと日本人の大合唱。この曲を選んだお店のセンスはいいんだけれど
も、この両国がワールドカップでのチャンピオンになるのは・・・・と思って心の
中で笑う。
 
 店を出る時にちょっと凹んでいる僕をアイルランド人が日本は良かったぞとか、
次は勝てるぞとか、必死に励ましてくれる。いいヤツ等だ。六本木はフーリガン紛
いの日本人の若者で溢れていた。やっと警察も仕事ができるんじゃないの?

 僕は明日鹿島へ行こうと帰りの地下鉄の中で思った。ただ単純に今日のお礼にア
イルランドを応援してやろうとまた思いつき。きっと素晴らしいおバカさん達でス
タジアムは盛り上がるだろうと期待する。

 よく考えたらまだ一試合も会場で試合を見ていない。なのにこんなに楽しんでい
る自分に不思議な気持ち。これがワールドカップを楽しむって事なのかな?

[00004] 鐘を鳴らせ(2) 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/07 03:09
チケットが無くてもとりあえず現地へ行ってみようと思うのが僕の考え方。チケッ
トなんてどんな試合でも余らせて困っている人がいる。そんな人からどれだけ安く
買えることができるのか?それが試合とは別の僕の楽しみである。基本的に定価以
上の値ではビタ一文払いたくないんだ。足元を見ればチケットが落ちているかもし
れない。風でチケットが飛んでくるかもしれない。チケットなんてそんなもんだ。
楽観的に行こう。

 現地に行くのはチケットだけの問題ではない。単純にワールドカップを見に来た
外国人と触れ合おうと思った。言葉なんか気にしなくてもよい。言葉なんてそんな
に大事じゃない。大事なのはいかにフットボールが好きかを心で伝える事。

 浦和駅で「余ったチケットください!!」のプラカードを出す。周りには多数のチ
ケットを求めるイングランド人。スウェーデン人はそんなにいない。どうやらここ
にはまだ日本人がいないらしい。僕の独壇場だ。

 さっそくイングランド人に話しかけられる。オッサンというよりは、もう初老の
爺さんといった感じで、インド・アジア系の顔立ちをしている。その爺さんと小学
生英語で喋る。
 -オマエの好きなイングランドの選手は誰だ?オマエはどこから来たんだ?俺はロ
ンドンから来たんだ。娘と一緒にな。俺はイングランドが決勝に残るまで日本にい
るつもりだ。娘は明日帰ってしまうんだけど、今日の試合は一緒に見たいんだよ。
ただチケットは一枚も無いけどな。ガハハ。-
まぁ豪快な爺さんだ。
-お前もチケットが欲しいのか?じゃあこうしよう。俺もお前の分まで交渉してやる
からお前も3枚買えるように努力しろ。-
爺さんはムチャクチャだ。そんな爺さんの近くにいた娘さんはメチャクチャ可愛か
った。ここに異国の臨時即席タッグが結成され、別々の場所でそれぞれの努力を始
める。
 
 プラカードをあげて30分もした頃だろうか。早くも2枚連番のカテゴリー1の
席を定価で譲ってくれる人日本人のお姉ちゃんを発見。

 -2枚連番- この言葉が僕の心に引っかかってしまった。2枚連番ならあの親子
で丁度いいではないか。僕はこの試合を突然見たくなっただけで、それほど前々か
ら見たい試合でもなかったんだし。わざわざ東の果ての国までチケットの事を考え
ずに来たバカには負ける。それに僕だったらまだまだ粘れる時間だ。キックオフま
でまだ4時間もある。そして違う場所にいた爺さんを呼びつける。仲介役まで買っ
て出てホスト国アピールしまくり。その全ては可愛い娘さんの為。

 その親子は自分たちのチケットが手に入ってからも僕のチケットの分まで取れる
ように一時間程は頑張ってくれた。だけどもう上の空といった感じで、戦力には全
く役に立たず。という僕のほうも最初のお姉さん以外は全く誰とも接触は無い。な
ので親子にスタジアムに行ってもらう事にした。-じゃあ俺達はスタジアムに行くけ
ど、オマエがチケットを取れるよに願っているぜ。お前も楽しめよ。今度飲みに行
くぞ、ガハハ- 最後に名前と電話番号を交換してスタジアムで会うことを誓う。た
ぶん電話なんて架かってこないだろうけど、これも1つの思い出だ。最後に可愛い
娘の頬にキスを。爺さんアンタはいいよ。

 その後色々と場所を変えて粘ったけれどもチケットは結局手に入らず(美園での
チケット相場が50000円と聞いた時には流石に驚いた)一路六本木へ。特に理
由は無いけど大きなスクリーンがある店で試合を見ようと思って。特大のモニター
でイングランドVSスウェーデン。さいたまスタジアムの観客席が写される度にあの
親子を思い出す。楽しんでるのかな?これでよかったんだよな。とか柄にも無いけ
ど思ってみたりする。僕はあそこにいたかもしれないんだよなぁ。ビールを飲む。
飲まざるを得ない心境。やっぱり席が空いてるらしい。Cherrs!バイロム!!こんな
気持ちを与えてくれて。

 しっかりスペインVSスロベニアの試合も見て(スペインの流れるボール捌きには
惚れ惚れ)店を後にする。丁度さいたまでの試合が終わってこっちに来たイングラ
ンド&スウェーデンのユニホームをちらほら見かける。そんな両国のより緑のアイ
ルランドが多く、そして日本の警察服が一番多いっていうのが空回り。そして今日
の僕も空回り。

[00003] 鐘を鳴らせ(1) 投稿者:Y.Yanagi 2002/06/03 02:43
2002年6月2日(日) イングランドVSスウェーデン 埼玉スタジアム20
02

 ワールドカップは、アフリカの新星セネガルが前回王者フランスを破るという快
挙で幕を開ける。あえて快挙という文字にした。奇跡というには言い過ぎだろう。
10回やったら6回か7回はセネガルがフランスに勝つ事ができると思うから。
(奇跡と言うのは、アトランタオリンピックでの日本対ブラジルのような試合。あ
の試合は10回やっても100回やっても、日本が2度と勝てるような気が全くし
ない)セネガルという国は今までのアフリカのチームとは一味違ったような匂いが
する。個より組織を尊重しているという、アフリカなのにアフリカらしくない変わ
ったチーム。あとブルーノ・メツがとてつもなくいい男だということ。それだけ。

 その余韻が残る翌日にはアジアの雄、サウジアラビアがドイツに8点も取られて
負け。20世紀の負の遺産とも思えた本大会での虐殺ショー。まさか新世紀一番最
初の大会でまたその姿に再び出くわす事になるとは。サウジアラビアはアッラーへ
の信仰心が厚い事で有名だ。そんな彼等をまるで嘲笑するかのような惨劇、神様は
何処かへ行ってしまったのだろうか?

 ・・・とまぁワールドカップが本当に開幕した。でも僕はまだ実感が湧かない。
マスコミが無理やり盛り上げてるように感じるからなのだろうか。テレビに映った
会場が新潟や札幌と言われても、どこか違う国のように感じてしまう。僕はつむじ
まがりな天邪鬼だからだろうきっと。

 そんな僕が生まれて初めて、生で、そして自分の肌でワールドカップを体験す
る。行先は埼玉スタジアム2002。もちろんチケットなんてモノは手元には無い
 <後日へ続く>

[00002] 開幕 投稿者:Y.Yanagi 2002/05/31 02:31
2002年5月25日(土) 日本VSスウェーデン 国立競技場

 日本代表のワールドカップ開幕は6月4日埼玉スタジアムでのベルギーとの試合。
でもこれは大きな間違い。

 僕は渋谷の街を自転車で駆け抜けていた。まだ太陽が高い。初夏の陽気とはこの
事といった感じで体に少し汗を感じる。あぁ失敗したウィンドブレーカーなんて持
ってくるんじゃなかった。これじゃ単なるお荷物だ。世界を私達の物とでも思って
いるようにイチャついているアベック達を横目に見ながら、お荷物を肩にかけて自
転車で颯爽と表参道を。向かうはもちろん国立競技場。

 ちょっとした違和感を僕は感じていた。普段の週末の街と雰囲気が違うなと思っ
た。それはきっとあの突き抜けるような青色を身に着けた人達をちらほらと見かけ
たからかもしれないし、僕の単なる思い過ごしだったかもしれない。でもこんな違
和感は最近の代表戦では感じた事は無かった。国立競技場に近づくにしたがってそ
の違和感は期待とも困惑とも呼べそうな不思議な感情に変わっていく。

 スタジアムの周りには見渡す限りの人の群れ。国立に行った事のある人は想像し
て欲しい。一説によると代々木門に並んだ列が幾つもの蛇行を繰り返しながら、千
駄ヶ谷駅まで続いていたとの事。「チケット譲ってください」のプラカードを持っ
ている人も普段より多く見かける。なぜかスウェーデン人には見えない外国人も多
い。ちょっと片言の英語で話してみたら、ワールドカップに向けてはるばる西の彼
方から来日したイングランド人だったりしてちょっと笑った。僕の心は自然とヒー
トアップしていく。そして並ぶのが何よりも嫌いな僕はチケット片手に警備員の一
瞬のスキを狙って、インザーギ並みの飛び出しで一気にスタジアムゲートの中へ。
まだまだ僕も若い。

 スタジアムを覆う青に夕陽のオレンジ色が、そしてなにより美しいピッチの緑が
僕を瞬時に包み込む。僕はビールを左手にプログラムを右手に、自分なりの今日の
スタメンをいつもと同じように考えている。時間はあっという間に過ぎていく。夜
の闇が迎えにきて、両サイドから歌が始まり、ピッチに選手達が練習に現れ、スタ
ジアムの照明が落ち、僕の予想とはだいぶ違うスタメンが発表され、試合開始を待
ちきれない観客のウェーブが起きる。さぁ試合開始だ。

 相変わらずのナカタの体の強さに驚愕し、アルベックのシュートに落ち込み、す
ぐに日本を鼓舞する。後半入ってきた鈴木のイキナリの肘を入れた競り合いに閉口
し、(その後のプレーでも後ろからは必ず削ったりしてて笑った。でも鈴木は好
き。)リュングベリの2列目からの飛び出し(僕の今日のスタジアムゲートでの飛び
出しにはきっと負けるはず)に恐怖し、そのリュングベリの1対1のシュートを止め
た楢崎を賞賛して、日本の同点ゴールには狂喜乱舞する。試合自体はいつもと変わ
らない。むしろつまらなかったと感じた人が多かっただろう。試合自体はハナから
調整試合だ。つまらなくて当たり前と言えば当たり前なんだけど。
 
 この試合を見て1つだけ言えることがある。それは日本のワールドカップがこの試
合で開幕したという事。日本のワールドカップはもう開幕したんだ。ブラウン管の
前で試合を見ていた人達に伝わったかどうかはわからないけど、この国立の雰囲気
を僕はとても心地よく感じた。選手でも監督でもなくワールドカップを心待ちにし
ていた人たちが、今日のスタジアムの雰囲気を創りあげたのだから。僕を含めて大
多数の人はワールドカップの試合を見に行くのは困難であろう。そんな人たちが今
日の国立を創った。

 就任当時は日本語でコミニューケートをすぐに取れるようにすると言ったフラン
ス人がインチキっぽい日本語でスピーチをする。ピッチの周りを一周する代表選手
を僕は拍手で送り出す。彼等はこれからワールドカップという名の戦争に行く。勝
てば天国、負ければ・・・・。そんなことを考えるのはよそう。

 熱狂が冷めたスタジアムでツンとした肌寒さに気がつく。昼間は初夏の陽気だっ
たとはいえ夜はまだまだ寒い。お荷物のウィンドブレーカーがやっと役に立った。

[00001] はじめに 投稿者:Y.Yanagi 2002/05/31 02:24
ワールドカップとは何ですか?
祭典?
娯楽?
はたまた人生?
それとも・・・・?

 日本代表23名が発表された時、僕は仕事中だった。驚きを知るのは家に帰ってか
ら。

 別に誰々が入ったとか、誰々が落ちたとかは大した驚きではない。100人監督がい
れば100通りのメンバーになるだろうとはよく言われる事。現にサッカー解説者やフ
ットボールライター、それに自称サッカー通と呼ばれる人たちまで様々な意見を今
現在も述べている。これでいい!という人も入れば何で誰々を選ばない!という人
もいる。正に十人十色だ。実際に選ぶのは監督だ。選ばれた選手はワールドカップ
を闘うという任務を遂行し、その責任は監督が負う。このメンバーで結果を残せば
人々から賞賛され、もし失敗すればいろいろな人から非難される。これは紛れもな
い事実だ。
 僕は思う。メンバーがどうなろうと僕たちの日本代表には違いない。だから誰々
が落ちたから日本代表なんて応援しない!なんて事を言うのは悲しいし、何より口
惜しい気がする。・・・ちょっと話が逸れた。

 じゃあ何に驚いたのか?それは日本代表メンバー決定の話題が家族から勝手に起
こったことだ。おまけに僕がまだ知らないと言ったら家族から思いっきり馬鹿にま
でされた。たまに試合を見ているオヤジはともかくとして、母さんや今時の女子高
生の妹まで既に選ばれた23名の日本代表メンバーを知っているらしい。驚いた。普
段はサッカーのサの時も家では出ることはないそんな家なのに。ワールドカップ効
果はこんな平凡な家族にまで顕著に現れているのだと実感する。そんな僕は未だに
ワールドカップに対しての実感が無い。そのうえ不思議なくらい落ち着いている。
テレビのスポーツコーナーでは代表のニュースが連日騒ぎ、新聞の一面を飾ったり
しているのにも関わらず。それは僕が皮肉屋だからだというのもあるだろうし、ワ
ールドカップの事で扱われている話題が陳腐過ぎっていうのもある。(フーリガン
特集とか、翼賛モードで事なかれ主義の代表ニュースとか)別に無理やり盛り上げ
なくてもいい。チケットが手に入らないだけでも、こっちはウンザリしているん
だ。

 あえて言うワールドカップは僕らの大会だ。サッカーが好きな僕らだからこそ楽
しむ義務がある。サッカーの思い出を酒の肴にして知人と飲み交わせる僕ら、自分
の日本代表スタメンを勝手に思い浮かべて夜も眠れない僕ら、そして「私とサッカ
ーとどっちが大事なの?」と付き合った人に言われたことのある僕らを含めて。

 こんな稚拙な思いを馳せながら、狂騒の一ヶ月に僕は身を投じようと思う。きっ
と心より体が自然にヒートアップしていくんだろう。また眠れない夜が続くんだろ
う。苦痛が快楽とも思える日々がまた僕らを包み込んでいくんだろう。そして至福
の一ヶ月が過ぎていくのだろう。

最後にこれを読んでくださる皆さんに問う。
アナタにとってワールドカップとは何ですか?

追記
僕はこの場所を借りてこれからとりあえずワールドカップが終わるまでの間の自分
の心の軌跡を書かさせてもらいます。もちろん全試合生観戦記なんてモノは書けま
せん。もちろん何試合かは見に行くつもりですが。別にチケットが無くてもいくら
でも楽しむ方法はあると僕は思う。せっかくの自国開催(共催だけど)楽しまなき
ゃ損ですよね?

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